相続税対策としての不動産投資
「不動産の購⼊が相続税対策になる」といわれていますが、その理由は、「不動産の相続税評価額は、不動産の時価よりも低く評価される」という、不動産の相続税評価の仕組みにあります。
⼟地は主に路線価で評価し、建物は固定資産税評価額で評価するよう定められています。路線価と固定資産税評価額は実際の価格より低く設定されているため、税額の計算では有利になります。
よって預貯⾦などが主な相続財産の場合、不動産投資によって相続税を下げることができます。例えば預貯⾦の 1 億円を相続すると、相続財産の評価額は 1 億円となり、まるまる相続税評価額の対象となります。
⼀⽅、時価が 1 億円の不動産(市場で売りに出せば、1 億円の値段がつく不動産)を相続した場合、仮に不動産の相続税評価額が 6000 万円だった場合、4000 万円を相続税評価額の対象から減らすことで、相続税を節税することが可能です。
なぜ、不動産の相続税評価額が実際の価格よりも低くなるのでしょうか。その仕組みをご説明いたします。
不動産の相続税評価の仕組み
不動産の価値は、①土地 と ②建物 の2つに分けて評価します。
まずは⼟地の評価から⾒ていきましょう。
⼟地については、原則、国税庁が公⽰した財産評価基準書における「路線価図」と「評価倍率表」に基づいて路線価で評価するよう定められています。
路線価は、「実際の市場における不動産価格の80%」を目安に算定されています。その為、⼟地を取得した時から現⾦と⽐較して 20%下がることになります。
また、不動産の時価が上昇している地域の場合、時価の上昇に路線価の上昇が追い付いていないケースも多く、実際には倍以上乖離しているケースもありますので、削減効果はより大きくなることもあります。
路線価は国税庁のホームページ上で簡単に検索できます。気になるエリアがあれば、実際に路線価を検索し、そのエリアの不動産時価と比較してみてください。
次に建物の評価ですが、こちらは固定資産税評価額に基づいて評価します。
固定資産税評価額とは、固定資産税を計算するために、市区町村が算出した評価額であり、基本的には3年に1回しか見直されません。固定資産税の納税通知書に、必ず「価格」という欄がありますが、その金額が固定資産税評価額になります。
固定資産税評価額は、基本的に時価の約70%で算出されますので、現金と比較して30%分、課税対象金額を削減できる、ということになります。土地と同様、「時価と課税対象金額の差」を活用し、節税することができます。
【ポイント】
① 不動産の価値は、土地と建物に分けて算出する
② 相続税の対象になる評価額は、土地・建物ともに、時価よりも低く設定されている
③ 「時価と課税対象金額の差」を利用して、節税することができる
賃貸不動産に特有のメリットとは?
ここまで、不動産の相続税評価の仕組みをご説明してきましたが、「人に貸すための不動産(貸家)」に該当する投資用不動産の場合、さらに相続税を圧縮できる可能性があります。
なぜそのような効果があるのか、その仕組みをご説明いたします。
「貸家」とは、他人に貸しており、所有者が自宅のように自由に使うことができない不動産を指します。一方、自宅のように所有者自身が使っている物件を「自用の物件」と呼びます。
賃貸借契約では、借主の権利が守られており、契約が簡単には解除できず、仮に退去させるには、立ち退き料を支払う必要があります。要するに、所有者(貸主)の利用方法や売買に大きな制約があると考えられます。
上記の通り、貸家は権利の制約が大きいという理由から、相続税評価額では自用の物件よりも価値が劣るという「考え方」が採用されています。
よって、貸家の相続税評価額は、自用の物件よりも低くなる、ということになります。
さらに投資用ワンルームマンションの場合、「小規模宅地等の特例」を適用すると、貸家建付地の評価額をさらに圧縮することも可能です。
「小規模宅地等の特例」とは、一定の条件に合致した場合に、土地の相続税評価額を「最大8割」も引き下げることができる制度です。
つまり、土地の評価額が1億円の場合、この特例の条件を満たせば、その土地の評価額を2,000万円まで引き下げることができます。
※ただし、「⼩規模宅地等の特例」の適⽤にはいくつかの制約条件があり、平成 30 年 4 ⽉以降、死亡までの 3 年以内に初めて賃貸を開始した場合は、⼩規模宅地等の特例を適⽤することができなくなっています。
【ポイント】
① 「人に貸すための不動産(貸家)」の場合、相続税評価額が引き下がる
② 「貸主の自由が制限されること」がその理由
③ 「小規模宅地等の特例」を利用すれば、さらに評価額を減額することができる
ローンが残っている場合には…
不動産を購入する場合、ほとんどのケースにおいて、ローンを組むのではないでしょうか。相続税を計算する際には、借入金等の債務は遺産から控除されますので、ローンが残っている場合には、さらに相続税の圧縮効果を得ることができます。
ただし、返済の義務を負うことに変わりませんので、将来の不動産価格・家賃下落リスク、空室率上昇リスク等によっては、不安定な財務状態になってしまう可能性も否定できません。
相続税を減らすために、財産そのものを傷つけてしまっては意味がありません。バランスよく財産ポートフォリオを組んでいただくことをお勧めいたします。
是非お気軽にご相談ください
相続税対策としての不動産投資 についてご説明してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
TFDコーポレーションでは、相続税対策を視野に入れた投資用不動産の購入についても、ご相談をおうけしております。
是非お気軽にご相談くださいませ。